職業選択テスト(1)による運命分析的職業相談
−職業選択,転職と就業予後の心理学に対する寄与−
Schicksalsanalytisich orientierte Berufsberatung anhand des Berufswahl-Testes.
Szondiana VIII,1971 173-177
この肖像テストは日雇い労働者の96枚の写真で構成されている。各肖像は−Szondi
博士が「運命分析」のなかで1944年に最初に提示したように,−職業心理学に
対する運命分析的要因の意義を考慮して構成された。
(1):すでに1963年にZurich で開催されたコロキュームで肖像テストは提
示されている。(SzondianaIV,P238, 参照 当時の最初の構成に対して,最も本
質的な変更は教育水準を考慮することと,要因結合を導入したことである)。
要因 |
職業心理学的意義付け |
テスト構成
写真枚数
|
h + |
柔らかさ、女らしさ、情愛 |
8 |
s + |
力、硬さ、体力にふさわしい欲求 |
8 |
e + |
救助への準備性、善行への欲求、
|
9 |
e - |
活力、勇気、遂行性(意志完備性)、
作業促進、独立への欲求
場所を変えることへの運動欲
|
16
7
|
hy+ |
顕示欲、表現欲、耽義主義的傾向 |
16 |
k + |
知性、理性、論理
思惟欲求、拘束、
制限限定への傾向
|
16
|
p + |
理念、直覚、精神、拡張膨張への傾向 |
16 |
d - |
物質、所有への関係 |
8 |
m+ |
談話欲求、言葉、社交
性
食欲
|
8
5
3
|
|
|
|
核心の要因ehy及びpは個々16枚ずつの像が提示されているが、h,s,d及びm
の要因はそれぞれ8枚ずつである。このような重複化がなされたのは教育水準を
考慮するためである。学生やより高い教育水準の労働者にとっては、特別な学校
教育を前提としない職務に自己を同一化することは困難である。それ故に一層高
い学校教育を必要とする職業についての像を本テストにおいて採用したのである(
テスト像No65-96)。そしてこの像は8、9年の学校教育で学習されるような像
である。(テスト像No1-64) 一層高い像はeとe*,hyとhy*,kとk*pと,p*の像が相
互に区別されるように「*」の記号がつけられている。個々のテスト像は2要因
が1つの像として統一されているのでは、最初の要因は2番レの要因よりも強い
誘発性を持っている。8要因に相応するように64個の目をもつチェス盤のよう
なものを生ずるが、この場合は各要因は1回だけ単一傾向(hh,ss,ee等)として現
れる。4つの核心要因は2倍になるように意図されているので、64+32=96の像と
なる。
肖像テストの構成
h |
s |
e |
hy |
k |
p |
d |
m |
1
hh
|
2
sh
|
3
ehy
|
4
hyh
|
5
kh
|
6
ph
|
7
dh
|
8
mh
|
9
hs
|
10
ss
|
11
es
|
12
hys
|
13
ks
|
14
ps
|
15
ds
|
16
ms
|
17
he
|
18
se
|
19
ee
|
20
hye
|
21
ke
|
22
pe
|
23
de
|
24
me
|
25
hhy
|
26
shy
|
etc
|
|
|
|
|
|
垂直の系列には、同じ要因が主要因として、示されるすべてテストは像が配列
され、それに対して水平系列には、同じ要因が副要因として並ぶ。実例として要
因s=力の8枚の像をあげておく。 No.2.sh指物師(家具職人) s=身体的に厳しい
労働、手工業職人。 h=職業の材料として「柔らかい」材木に関する。 No10.ss
掘削工 s=さく岩すること:厳しい身体的労働、騒音。 s=職業対象:硬い岩。 No18.se
木こり、伐採業 s=釜が道具、厳しい身体的労働。 e=移動的職業。 No26.shy
健闘家 s=拳闘すること。 hy=ショー、スポーツ。 No34.sk機械錠前師 s=彫刻す
ること、道具:のみ、厳しい肉体労働。 k=技術的な計画による精密、精度の高
い労働。 No42.sp警察官 s=道具としての武器。 p=追跡すること、捜査すること
刑事(ないしは探偵)活動。 No50sd衛生関連敷設工事 s=身体的苦痛を伴う手工
業的職人作業。 d=下水、衛生設備(トイレ)比較的汚れに関与する労働。 No58sm
食肉業 s=屠殺 km=職業対象としての肉、食物。 この8枚の像のすべてに要因s
が主要因として出現する。主要因は実際の活動から生じ、副要因は職業対象や
職業目標から生じる。s要因の実際の活動は次に示したものである。たとえば、
カンナをかけたり、錐で孔をあけたり、斧を振ったり、拳闘したり、屠殺すると
いったような身体を消耗する労働である。副要因を決定する職業対象は、前述し
た職業によって個々変化する。肖像の検定は連想検査によって行われた。連想に
対する実例としてNo26shyの拳闘家の肖像をあげよう。被験者はこの肖像を好き
と選んで、次のように述べている。「拳闘すること、それは実際に身体に最適で
あるという適正をもち、しかもそれが相手を征服することを助けるような適性を
必要とする最も過酷な運動競技の一つである」。所見:「過酷」、「身体に最適
であるという適正」、「相手を征服すること」等の表現はすべて要因snに属する
ものである。この被験者は副要因のhyについては全く述べていない。他の被験者
はこの肖像を嫌いとして選び、以下のようにqべている。「このような格闘で脚
光を浴びることは、私にとって理解できない」所見:「格闘」という表現は、s
に属す。 「脚光」という表現は副要因のhyに属する。他の被験者はこの肖像を
好きと選び、「人間は善良であれば尊敬され、そして成功する」
所見:この被験者は副要因のhyを述べているにすぎない。テスト像を確定する
際に、我々は次に述べるような条件を定めた。すべての連想の2/3は主要因との
関連が証明され、全所見の1/3は副要因に関連しているのでなければならない。
そして、その他の要因は、できるならば、全く述べられないか、あるいは述べら
れたとしても稀であることが望ましい。肖像の検定には長期の年月を必要とする
。W.フリスマン氏はこの研究を援助してくれたことを感謝する。テストは個人検
査として、あるいは集団検査として実施されうる。個人検査の場合は96枚の肖像
を一挙に被験者の前に開示し、順序に従って肖像を選択させる。集団法の場合は
スライドを映写して実施する。テストの説示は以下のようになされる。「ここに
提示した写真は、あなたが「はい」(肯定)、「いいえ」(否定)、およびどち
らでもない(好きでも嫌いでもない)と言うように自由に選択できる職業人の肖
像である。もし、仕事の職務がほんの少しでも気にいれば、その肖像は「はい」
(肯定)に属します。」「さらに、あなたがこのような職業を学習したいと思わ
なくとも、また、このような職業に対する能力があるか、無いかということは無
関係に選んで結構です」。「ここで問題になるのは、貴方にとってそれに対する
関心と傾向があるか、無いかということです」。「できるだけ多くの肖像を「は
い」(肯定)の方向に置いてください。自然な気分で選び、第一印象で選んでく
ださい」。「人は誰でも、どんな可能性でももっているであろうし、欲すること
は全てできるかもしれないという気持ちで選んでください」。「全く好ましくな
い肖像は、「いいえ」(否定)に属し、好きとも嫌いともはっきりしなかったり
、どちらとも決定できなかったり、あるいはどうでも良い(関心が全くない)と
思われるような肖像は、「どちらとも言えない」という側に置いてください」。
個人検査の場合は約10分を要するが、集団法の場合には30分程度が必要になりま
す。個人検査実施時に、被験者が好きと選んだ肖像を「どの肖像が共通性をもち
、組をなしているか」という側面を更に詳細に分類できる長所と利点をもってい
る。そして、このように分類された肖像は、どの集団の肖像が貴方に最も気に入
っているかということの順位がつけられる。この様にして選択された肖像は好き
と選ばれた肖像のなかでも最も重要な集団になる。「貴方がこの職務で気に入っ
ているのは何か。なぜ、貴方はこの肖像を好きとして選んだ肖像群の中に入れた
のか。これらの肖像に共通のするのは何か」ということにつぃて、我々は被験者
に連想を求めるのである。テスト構成と、テストの実施について以上紹介したが
、私は次のに職業集団検査に関する成果を提示し、個々の実例に則して成人の職
業相談における本テストの応用を示したい。 I. 職業集団用調査(Berufsgruppen
unter Suchungen) 個々の被験者のテスト結果が統括され、集団プロフィール
にまとめられる。この集団プロフィールはある一定の職業群の職務遂行者の傾向
構造を示す。 a)勤務不能者に対する職業相談助言における職業集団調査職業実
習補講課程の機会に35名職業相談助言者を被験者としてテストを実施した。個々
の被験者のテスト結果は、各テスト像についてその陳述により「好き」(肯定)
、「嫌い」(否定)、「いずれとも言えない」(好きでも嫌いでもないのいずれ
かに選ばれたかが)1つの図表にまとめられた。さて、8枚のh像、8枚のe像等の
全てのプラス数値が容易に集計される。この様にして得られた数値はその強さに
従って順位付けがなされる。勤務不能者に対する35人の職業相談助言者の要因配
置順位は次の表のとおりであった。 e* p k* e k p* m hy hy* d s h 164 143 136
127 116 103 95 92 88 83 65 51 最初の位置に要因e*がきているが、これは「
勤務不能者のための職業相談助言者」はe欲求の職業であること、つまりこの職
業にとっては要因eが主要因になることを意味している。はじめに述べたように
、要因eではh=助力者的職業とe=活力的ないしは運動的な職業との2傾向が区別
される。164のe*選択のうち101はhに63はeに属する。127のe選択から63はhに64
はeに属する。従って、e*のうちでは助力者的な職業が優勢を占めている。 *そ
れ故にe*pkという要因配列順位は次のような意味を持つ。 e*=助力的な職業、社
会的な心構え p=理念、精神、着想、直感 職業相談助言者は助言を求める者に
対して相応しい職業を探し、見いださなければならないし、彼は良き理念と着想
を持たなければならない。 k*=悟性、理性、論理性、即物性(客観視)のよう
な着想(p)は同時に理性的で、即物性でなければならない。彼らは実現しうる可
能性があると思われる方策を提案し、遂行しなければならない。要因配列順位の
最後に、hy,d,sおよびhの要因が見つけられるが、これは、この職業では顕示欲
求(自己愛)、きたない労働に関係すること、体力や情愛的な身体的接触への欲
求などが全く考慮されていないことを意味している。どのテスト像が最も頻回に
選択されるかを経験するためには、個々のテスト像はまた一定の配列順位に配置
されるべきであろう。ある職業群の全被験者の66%が好き(肯定)として選んだ肖
像は、この職業群を特徴づけるものであり、それはこの職業群にとって典型的で
あり重要である。勤務不能者に対する35人の職業相談助言者の場合は以下に示す9
枚の像であった。
2,3の職業相談助言者から連想が提出されている。さて職業を特徴づけること
を維持するために、最も多く選ばれた肖像に対する連想がまとめられたのである
。この連想内容の処理は連想の最も重要な思想が重視される点にある。そして、
次に全ての強調された所見は全体的な視野の下で要約された。最も多く選択され
た肖像に対する職業相談助言者の連想。医者:この写真は医者だと思う。私はか
つて医者になるという考えを持っていたことがある。医者は人を助けることが出
来る。私は自然科学と医学に興味に持ち、小児科医になれれば良いなと思った。
刑法学者:刑法学者の場合には、或る人に何かを質問したり、探り出したりする
際に助言、相談及び明白化が問題となる。学生:学生は本を読んでいる。私はも
っと勉強したいし、読書や勉強のための時間がもっと欲しい。 教師:教師は能力
と訓練をとりつぐ者である。教育学は気に入っているし、常に魅力が私の心を引
力のように引き付けた。一方、知識を伝達し青年を教育し養成すること。 代議
士:代議士の場合には、人間は計画し、展望を持つ一集団の中に思想が表現され
る。つまり、指導的な団体、問題は討議される。それは行政部門の専門家の審議
である。映画監督:映画監督は新しいものを創ることができる。きわめて変化に
富んだ職務。保護司:この男の顔は私に対して同情的である。あたかも彼が自分
の前に立っている人を慰めると同じ様に励ましたと思っている。情緒豊かな気分
化。 伝道者:この写真の人物は伝道師であ驕Bこの人達は教え、神について誇
り、我々と同じように生きることが出来るように、人間としての発展を助ける。
言語療法治療家:この写真は人が彼に何かを教え込まねばならない妨害された
人(障害者)である。この場合も、人間が最も重要な要因であり、仕事の中心点
である。 これらの連想は、次に示すように職業を特徴づけることへと要約さ
れる。「勤務不能者に対する職業助言者」という職業は、彼の救済準備性(救助
への素質)によって特徴づけられる。彼は自分の仕事の中心点に立っている妨害
された人(障害者)を相手にする。障害者を助けるためには、彼は妨害の様式、
種類についての医学知識を必要とする。相談(面接)と明白化(テスト)による
助言活動、教育学的な指導的使命、仲間の人間的な慰めと激励などが問題である
。そして、最後に結論として、計画された方策の実施と行政的な管理上課題の解
決が問題となる。それは改造ということにかかわることである。彼の心は内的な
伝導によって満たされている。職業相談助言者における調査は、また転職の動機
付けにおける啓発的な洞察を与えてくれたのである。ほとんど全ての職業相談助
言者は「じかの」職業相談助言者ナなく、以前には他の職業に従事していたので
あるが、その後、この新しい職業へと再教育された人たちである。この職業は典
型的な第二次職業である。それ故、ほとんど全ての職業相談助言者に対して、貴
方は以前の職業を捨て、この職業に就いたかと言う質問をすることができる。実
際にはこの問を発することはなかったが、或る被験者の傾向プロフィールが彼の
以前の職業との関連において考察された。次のことが仮説としてたてられた。
以前の職業は、彼の個人的な傾向構造がこの職業の職業構造と一致しなかったた
めに放棄されたのであろうとの仮説である。もし、職業に携わる人間の傾向構造
が職業集団の傾向構造と一致しないならば、我々はこのような謝った一致を不一
致と呼ぶ。彼の職業に対する不一致は、誰にでもその職業を放棄させ、より大き
な一致を示すまで新しい職業を追求するように仕向けるのである。この命題が正
しいことを証明するのはそれほど困難ではなかった。
1. 貴方はこの職業を再び学習したいと思いますか。 はい/いいえ も
し、「いいえ」ならば:何を貴方はしスかったのですか。なぜ、それをすること
が不可能であったのでしょうか。2. どの様な職業につきたいかという希望を
職業選択時に貴方は持ちましたか。貴方は今の職業を自分のものとして好みにに
感じていますか。あるいは、なお、それ以外の他の職業に就きたいと希望してい
ますか。3. どの様な職業上の計画と目標を貴方は持っていますか。 職業に
対する忠実さ:問1を「はい」で回答し、問3で徒弟奉公後で転職が全く予想さ
れない場合。例えば、機械工が機械技術者になりたいというような場合に、徒弟
奉公後すぎ引き続いて再教育を受けることは、同様に「職業に対して忠実」と見
なされる。 中程度の忠実さ:問1を「はい」で回答しているが、徒弟奉公後に
転職希望があるもの。例えば、機械工が警察官になりたいとか、あるいはパイロ
ットになりたいとかいう場合。 職業に対して不忠実さ:問1が「いいえ」で答
えられた場合。職業の傾向構造。職業そのものはそれぞれ傾向を持ち得るもので
あるから、「同じ職業集団の職業に所属する者の傾向構造」について語ることは
、きわめて適切なことと思われる。職業に対して忠実な徒弟のテスト所見だけが
考察の対象とされた。次の表は下記の職業要因配列順位を示した。すなわち、機
械錠前工、道具制作工、機械工、精密機械工、機械製図工、物理学研究助手、FEAM
(テレビ及び電子工学装置組立工)。
この比較は、一方では職業に対する忠実さと一致との平行関係を、他方では、
職業に対する不誠実さと不一致の平行関係を明白に示している。不一致は職業従
事者がその職業の職務的雰囲気にとけ込み、一体になれないこと、また長期間に
渡ってその職業に関心を持たないことを物語る。職業に対する関心の欠如は、職
業心理学的にいて不十分な傾斜への論拠で・能率不良(業績不良)の前提条件の
一つであるである。それ故、不一致を示す徒弟は良い業績を示さず、いずれは転
職することが予測される。一致度・不一致の比較は、職業予後の予測を可能にす
る。従来の職業予後予測は能力試験や能率試験に基づいてなされてきたが、ここ
で示した新しい職業予後予測の方法は、傾向検査並みに信頼できる成果と手がか
りを与えてくれることを認められた。テスト所見が鑑別診断的に役立つかを、4
人の職業不誠実な機械製図工徒弟の傾向プロフィールが示している。 a) m8, e*8,
e7, hy7…希望職業:ジャズ演奏家 mとeの要因結合は社交性への欲求を
物語る。口唇愛的欲求(m)は、吹奏家として充足される。hy欲求についての強
調はショー的職業に相応しいことを物語る。機械製図工の職業にとって、彼は何
よりもまk要因が欠けている。
b) k7, s6, e5, hy5…希望職業:警察官s欲求についての強調は機械製図
工という職業に属していない。制服の着用と自己を公にする可能性はhy要因に
属する。 c)hy*8, hy6 k*6, p6…希望職業:体育教師 d)hy*6, k*6, p6, m6
希望職業:体育教師体育教師という職業は指示欲求と示威欲求によって特徴づ
けられている様に考えられる。さらに、この希望の職業だけがこのように強いh
y欲求の強調の中に現れるか否か、また、現実の体育教師がさらになお、eks
欲求を示さないかどうかを今後明らかにせねばならない。しかし、hy欲求の強
調は機械製図工の職業には適していない。これらの例も、不一致は転職を物語る
ものであるという前述の命題を確証するものである。 VI. 成人の履歴相談:家
具道具販売業で3年間の商業的教育を受けた後、彼は2年間、両親の経営する料
理店の簿記と仕入れ業務に従事していた。その後、彼は5年間生命保険外勤とし
て働き、さらに、1年間家具工場の営業職、その後7年間、敷布と婦人服の出張
営業職として働いた。その後、19年間彼は再び保健勧外勤員として勤務した。
この職業運命はe欲求の運命である。e要因に属するものは以下にあげられる。
営業、出張販売としての外勤としての多年の職務。この場合、動的な職業が問題
になる。保険部門も同様なe要因に属する。保険は保護機能を果たさねばならな
い、火災、災害、死亡などに対抗する危険性が保護される。時として上位に位置
する要因と関係し、感動反応が出現することがある。副次要因としてh欲求が現
れるが、彼は敷布、婦人服、紳士服等の販売をしていた。さて、この被験者の傾
向プロフィールはどの様な様相を呈しているのか。プラス選択の配列順位: e*7
e6 s5 h4 hy*3 p*3 hy2 p2 k1 m1 k*0 2次的要因の配列順位: h6 d6 s5 e5 p5
k4 hy3 m2 マイナス選択配列順位: -m6 -k*6 -k6 -p5 -hy*5 -hy4 -d3
-s3 -h3 -e2 -e*1 まず最初の位置にe要因が出現しているが、しかも援助と運
動欲求が同様な強さである。彼は4つの救助者の職業と、3つの動的な職業(e*
7)とを選択している。このテスト所見は社会福祉活動と同時に結合する強い運
動欲を物語る。従って主要因であるeは、保険外交員としての従来の職業と一致
する。2つの最も重要な副次要因は、s5とh4であるが、この場合h要因が特に強
調されている。このことは2次要因群の配列順位のなかでh要因が最初の位置に
あるからである。それ故、この53歳の男はe, h, sの要因結合によって規定
されるが、eは主要因であり、hとsは最も重要な副次要因である。 h要因の意味
:彼は相手との直接的な肉体的接触を求め、個々の人間へと関係づけられる。 s
要因の意味:彼は自分の体力を応用できるような職務を探し求めている。 e要因
の意味:彼は動的な職業と、援助者の職業とを求める。 被験者はe, h, sの要
因結合のうち2つに該当する2職業を提案した。 健康体操教師:彼は健康体操
の個人教室開設を考えた。彼は国民健康協会(スイス)に体操指導者講習会を講
師資格でさんかすることを計画した。マッサージ、サウナ浴場経営者:この職務
ではその上にもう一つの副次要因、すなわちd(2次的要因群の第2番目に出現
)が考慮される。油や軟膏を塗擦することはd要因のあらわれであある。なぜ、
この53 歳の保険ゥ誘員が今までの職業を放棄しようとするかの疑問は、マッサ
ージ師と保険勧誘員との両者の職業傾向構造と被験者の個人傾向構造とを比較し
て初めて明確になる。
以上の比較は個人の傾向構造が新しく選択された職業と完全に一致することを
示しており、しかも特に副次的要因であるhとsが新しく選択された職業の中で
考慮されていることを示している。保険勧誘員という職業の中で幸福だと感じる
ためには、kとmの要因が欠けている。被験者は論理性と社交性があまりにも乏
しい。被験者に対するいっそう強い理解を我々は次に示すような連想によって得
ることが出来た。 NO37、医者:この医者の肖像では、人格的な診察が問題にな
る。私は喜んで他人の個人的な問題を解決し、助けてあげたいと思う。私は自分
の感じ方で他人の人生問題に感情移入することが出来ることを試みるし、自負し
ている。 NO69、体操教師:私は体操をすることが好きであるし、身体運動を探
求する。私は既に小集団において身体授業の教授をした。私は集団授業よりも個
人授業の方が適している。 NO66、バレー芸術家:私は身体運動を経由して魂へ
の通路を探求する。それは私自身、身体運動と身体感覚ノよって精神的なものの
中に快感が与えられる。そして私はこの感覚に非常に依存しているからである。
そして、他者のまたこの様な感覚に依存しており、また苦しむと考えている。も
し精神的不調和があるなら、私は身体的に苦悩する。それ故、感覚が一層良い精
神的均衡へと至るように他社を助けたいと思う。このような連想は、eとhの要因
結合の生き生きとした具体的説明である。このような精神的傾向状況が被験者を
転職へと促すのである。 この肖像テストを用いて行われたこれまでの研究によ
って、テストが我々の精神のなかに刻み込まれた傾向構造を把握し、そしてそれ
から− いわば、根底からといっても良いのであるが、多種多様の職業に対する
関心が派生すると確言して良いという根拠を得たのである。 この様な傾向の根
元的ものにふさわしくない職業選択に遭遇した場合、遅かれ早かれ、転職と言う
ことが台頭してくるであろう。該当の職業選択と傾向の根元的なものや、根本志
望とが一致した場合には、良好な職業予後が予想されるであろう。この肖像テス
トは運命心理学の基礎のおかげで、その機能を果たすことが出来るし、実際に応
用することも可能になった。
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